日本人なら誰でも知っている英単語ですが
豚はpigと言い、豚肉はporkと言います。
あまり不思議に感じることはないかと思いますが、
生きた動物の名前と食べる時の肉の名前が違うのも変ですね。
他にも牛はcowですが、牛肉はbeefと言います。
動物の羊はsheepですが、お肉になるとmuttonとなります。
鹿はdeerですが、お肉はvenisonとこれまた違う単語があります。
しかし、鳥肉だけは動物でも食べる時でもchickenと同じ単語です。
さて、これらの単語の違いを変だと感じたことがありますか?
こんなシンプルなことにも英語の長い歴史が隠されているのです。
1066年にイギリスはノルマンディー公によって征服されます。
これが歴史の教科書に出てくるノルマン・コンクエストです。
それから300年間程イギリスはノルマン人によって統治されます。
つまり征服者・支配層がフランス語を話すノルマン人でした。
ノルマン人もイギリス人(アングロ・サクソン人)同様ゲルマン民族の
ひとつだったので文化的にも似ていたようです。
そのような社会的背景の中で動物を飼育するのはイギリス人、
それを食べるのはフランス語を喋るノルマン人と言う関係が続きます。
動物を飼育する人達とそれらを食する人達が違う単語で呼んでいた訳です。
300年間もそのような時代が続くと言葉も人々の間で
自然に定着して行ったのだろうと思います。
chickenだけは動物でもお肉になってもchickenですが
これは非支配層のイギリス人も鶏肉だけは食べていたようです。
いつもは口にしない豚肉や牛肉、羊肉はフランス語系になりましたが、
イギリス人が日常食していたchickenだけは動物でもお肉でも
同じchickenと言う単語を使っていました。
歴史の中の隠れたストーリーとも言えるモノですね。
この時代フランス語起源の単語が英語の中に沢山取り入れられます。
現在の英語の中にゲルマン語起源のものからラテン語・フランス語起源
そしてギリシャ語起源のものと入り混じっているのも
長い英語の歴史の中で混ざり合って来た結果なのです。
英語の学習の中でもこのような英語の歴史に関心を持つと
英語の学習もちょっと面白くなるのではないでしょうか。