英語の学習となると言葉だけと考えがちですが、
言葉の裏にある文化についても十分理解を深める必要があります。
日本人であれば日本語を習得するプロセスで日本の文化を吸収します。
育った環境で言葉と共にその文化、慣習等を無意識の内に身につけます。
これは文化受容(enculturation)と言うプロセスで誰でも体験しています。
外国語を学習する時に言語だけを一義的に学びますが
言葉が使われるのはその生活環境や社会です。
その環境や社会でどのような文化や習慣があるのか
その知識が薄いとコミュニケーションで誤解やミスが生じます。
例えばイスラム文化のインドネシアでは人にモノを渡す時に
左手で渡すことはタブーとされています。
その文化習慣を知らないと人に会って名刺を渡す時に
日本人であれば無意識に左手を使って渡すかもしれません。
言葉が出来ても言葉の裏地の文化を知らないことで
人間関係に誤解やトラブルが生じることになるでしょう。
昔南米で日本人のカップルが町で夕食を食べてホテルに帰る際に
流しのタクシーに乗って辺鄙な場所に連れて行かれ
男性が銃撃されて亡くなった事件がありました。
男性は帰国子女で自分のフェイスブックで英語はネイティブだと
自慢したいたようですが、英語がネイティブでも
文化を知らないと命を守ることはできません。
南米で現地の人でも流しのタクシーに乗る人はいません。
どこのだれか分からないタクシーに乗ることは大きなリスクです。
会社でもタクシーを使う時には契約している会社の車で
登録している運転手の誰が迎えに来ると言う確認をします。
新宿でタクシーをつかまえるように流しのタクシーを
気軽に使うと言うことは生死にかかわる大きな問題なのです。
外国語を学ぶ時にその言語だけでなくその言語の裏地の文化にも
十分意識を向けて知識を収集するようにしましょう。
社会的・心理的に新しい文化に溶け込んで行こうと言う意識を
文化変容(acculturation)と言います。
育って吸収した本来の文化と違う異国の文化に出会い
知らない文化を吸収して行くことで異国への理解が深まります。
異文化コミュニケーションでのトラブルや誤解は
得てして言葉の裏地の文化の理解が不足していることに
起因することも多いのではないでしょうか。
裏地の文化の知識の習得が大事だと言っても
文化人類学を学ぶとか頑張って勉強する必要もありません。
まずは言葉の裏地の文化に意識を向けると言う
自分自身の心の姿勢を見直すことが大事でしょう。
誤解やトラブル、命のリスクを回避するためにも
外国語を学ぶ時には言葉の裏地の文化にも意識を向けましょう。
海外で働いている時に私が経験したひとつの事例ですが
旅行に行った時にちょっとしたお土産を買って来るとか
お世話になったからお返しをしようとか日本人なら自然に
考えることがありました。
しかし日本の文化のことお土産とかお返しと言う概念も
海外では日本程意識されるものではありません。
異国には異国の文化や習慣があるので日本の文化のまま
お土産だお返しだと言うのを持ち出しても違和感があるだけです。
外国語を学ぶ時には是非言葉の裏地の文化にも意識を向けましょう。