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大黒屋光太夫はどのようにしてロシア語をマスターできたのか?

2021年12月7日 by Mines

大黒屋光太夫と言う人物をご存じでしょうか?

江戸時代の1782年に現在の三重県鈴鹿市辺りにあった白子浦を江戸へ向かう神昌丸に乗船していた船頭でした。乗組員は全部で17名。出港してから駿河沖あたりに到達した頃に風雨が強くなり嵐の中の航海になりました。

風浪に揉まれて帆柱も切り捨て数か月漂流することになります。その後8ヶ月程流されてアリューシャン列島のアムチトカ島に漂着します。そこから光太夫の約10年に及ぶロシア生活が始まるのでした。

島には原住民の他に毛皮捕りのロシア人がおり光太夫はロシア人との接触からロシア語を習得し始めます。最初はまったく話が通じませんでしたが、ロシア人が話すあるひとことに気がつき同じひとことを使ってみました。それは「これは何か?」と言うひとことだったのです。

光太夫はそのひとことから次第にロシア語の単語を収集しメモしながら実地で耳学問によるロシア語習得に努めました。アムチトカ島からカムチャッカ、イルクーツクと移動する間に仲間の船乗りも数名亡くなり、イルクーツクでは2名がロシア正教に改宗してロシアの地に永住することになったりしました。

イルクーツクで現地の役所に日本帰還への許可を願い出ますがなかなか埒が明かず、支援者の勧めで当時の首都ペテルブルグへ向かいます。1791年1月15日にイルクーツクをソリに乗り同年2月19日にペテルブルグに到着しました。

首都での滞在中光太夫はいろいろの体験をしています。廓では女性に大変もてていたようです。女帝エカテリーナ二世にも謁見することが出来て帰国許可を得ました。女帝に謁見する頃には光太夫は一通りロシア語が喋れるようになっていたようです。廓の女性達ともスムーズな会話が出来る程で女性達からお土産を貰ったりしています。

結局10年余のロシア滞在から1792年10月7日に根室に帰還しました。帰国出来たのは光太夫、磯吉、小市の三名でしたが、小市は根室到着後病死しており、光太夫と磯吉はその後幕府の取り調べを受け江戸では半ば軟禁生活を送ることになります。

さて「これは何か?」と言うひとことから、全くの未知の環境で対話をする必要性からロシア語をひとつひとつ粘り強く習得して行き、女帝ともスムーズに会話できるほどロシア語も上達させることができました。光太夫は一介の船乗りです。江戸時代の武士のような教育を受けた訳ではありません。光太夫に会ったロシア人が残したメモには光太夫の誠実さ、熱心さ、凛として何事にも臆することない人間性が記述されています。江戸時代のひとりの船乗りにしてロシア人をも感服させるような人間性だったようです。

光太夫がロシア滞在中に残したメモは蘭学者桂川甫周が「北槎聞略」に纏めています。同著には1700年代のロシアの風俗、自然、社会制度、慣習等々が細かく描かれていて現代ロシアでも第一級の資料だと評価されています。

光太夫は正しく生きるために日本に帰国するためにその必要性からロシア語をマスターして行きました。外国語を習得するためには、やはりその習得する目的が明確であることが重要であるようです。勿論彼の真面目さ、見た事、聞いた事、体験した事を細かく記憶してメモする彼の性格、更には船乗りでありながら卑下することなく大和魂を持って孤高の精神で異郷の環境に対した彼の精神性も尊敬に値するでしょう。

外国語を学ぶ時には学ぶ目的を明確にしてみましょう。何となく喋りたいとか、人がやっているからとかあやふやな動機ではなく、喋れるようになってから自分が何をしているか、何をしたいのかイメージできるかが重要です。大黒屋光太夫の精神性は日本人として学ぶことが大です。コスモポリタンと言うのは語学が喋れるからコスモポリタンではありません。何よりもまず日本人であることです。正しく美しい日本語を身につけているのか、日本の歴史や文化について人に説明できる程の知識をもっているのか、まず日本人であることがスタートです。いくら語学を学んでも母語以上の語学力を外国語で達成することは無理でしょう。母語が豊富だからそれにふさわしい外国語力も備わってくるのだと思います。

Filed Under: 海外旅行, 異文化, 英語

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